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槍使いと魔術師

槍使いと魔術師の会話




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「テオさんはどうして、前衛になられたんですか?」
 真っ直ぐに見上げてくる赤い双眸は純粋な興味で満ちていて、それにあぁ、と暗い感情が沸きあがる。
 憎たらしい首を捻じ切るのに後衛では牙が届かなかったなど――この恵まれた少女は想像もしたことがないのだろう。
「なんでまた」
 苦味が声にでないよう訊ねれば、少女は僅かに首を傾げる。
 そうして浮かんだのは寂しげな笑みで、それに少しだけ左胸が軋んだ。
「……他の人は、どうして前衛を選んだのかなって」
 誤魔化し切れなかっことを彼女は気付いていないのだろう。
 それに溜息は内心で、指通りの良い黒髪をかき混ぜる。
 梳ける育ちの良さは――暗い場所に要るべきではない、相方を思い出させて。
「単に才能がのうて、魔術が使えンかっただけや」
 唇を吊り上げて笑って見せれば、何処か安堵したように子供が笑う。
 それにやはり誰かが重なって、その笑顔が翳ることがなければいいのにと、柄でもなく思った。
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