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21g小話:empty

続きに下手とご飯の話
 時計はもうすぐ昼を指している。
 飯、と考えて、すぐに誰かが要らないと呟いた。
 要らない、気持ち悪い、抜いても死なない。
 続いた呟きに、思っていたより精神的に疲れていると悟る。
「あー」
 データを保存し、背中を伸ばす。筋肉が小さく悲鳴を上げる。
「飯……どうすっかな……」
 カップラーメンの買い置きは、確か昨日で無くなった。やっぱりめんどくさがらずに買いに行くべきやったと今更思う。
 自分の分だけ食事を用意するのが面倒だと、思うようなったのは何時だったか。
 自炊を始めた頃は誰かしら家に居たからかもしれないし、ものぐさな自分の性が原因かもしれない。
 一食二食抜いても死なないが、それで体を壊したら元も子もない。
 ……特に、普段口煩く言っているだけに。
 吐いた溜息が消えない内に、携帯を手に取る。
 少し悩んで、リーダーのアドレスを選ぶ。『今暇?』と打ったメールの返事は、電話で返ってきた。
「はいはい」
『暇だと思うのアンタ』
「そう物騒な声出すなや。一時間二時間邪魔しようって訳やない」
 飯食った?
 そう続ければ、あぁ、と小さく声が漏れた。
『昼だねー……忘れてた』
「やろうな、俺も」
『作業してると時間感覚おかしくなるわ』
「せやなー」
 仕事の量は、唯の方が多い。一緒に住んどる相方程じゃないが、細い彼もなかなかに食事を忘れがちだ。
 ……尤も、ソーセイが飯作らんようになるから、いうんもあると思うが。
『双生が作るからいい』
 成人男性としてはどうかと思うそれは、けれども、彼等に関してはある種の安全装置だ。
「自分等も食っとらんやったら飯食いにいかへん?」
『いいよー。ラーメン?』
「あー……ソーセイ食わんやろ。蕎麦かうどんでどや」
『だったらこないだのとこ行きたい……っと、しーさんごめん』
 しーさん飯行くつってるけど。
 あ、ラーメンじゃねぇし。こないだの蕎麦屋だって。
 微かに聞こえる会話に、どういう顔で言っているのかが思い浮かぶ。
『双生も行くって。つっても今からだから、三十分くらいかかるけど』
「かまへんから歩いてくんなよ」
『一駅とか徒歩圏内ですー。じゃあアンタの家に行くわ』
「了解」
 軽い笑い声と共に、通話は切れた。見計らったように腹の虫が鳴る。
 さて、何を食べようか。
 浮上したらしい思考に、思わず浮かぶのは苦い笑み。
「腹減ったー」
 ああ、ホント、何食おうか。
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