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テロまとめ。そのに。

Twitterでやらかした140文字テロのログそのに。
【初めて音に触れた日のこと】【それでも歌い続けると決めた】は
「【オリ盤】でお題しようぜ」様からお借りしました。

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「あの子は一回覚えた歌詞を忘れません」
 特技を訊ねると彼女はそう答えた。
「公式は碌に覚えられなかったんですけどね」
 吐息に近い笑いを零して、でも、と続ける。
「澪にとってそれは特技でもなんでもなくて、当たり前のことなんです」
 その笑顔が、何よりも雄弁に彼を誇っていた。

<Amadeus>


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「まいね」
「駄目」
「わった」
「とても」
「かちゃまし?」
「えっと、ごちゃごちゃした」
「あづまし」
「……落ち着いた?くらいのニュアンスですね」
 あかん、分からん。そう言って弑さんは天を仰いだ。
 関西弁も似たような物だとは思ったけど。
「したらまた通訳しますよ」
「おおきに、ソーセイ」

<異言語コミュニケーション>


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 歌うことは好き。
 歌うことが好き。
 それこそ、失ったら死んでしまうくらいに。
 ならそれは生きる為、なんだろうか。
「んー……」
 考えても答えは出ない。
 ただきっと、その場所が無くなったら酷く苦しいのだろう。
「そうかもなぁ」
 ……でも、声があるならきっと、まだ。

<Eat to live? Live to eat?>


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「才能なんてないですよ」
 それを素直に口に出せたのは、きっと相手がもう「バンド」をやっていないから。
「知ってます、ちゃんと」
 けど、俺は――それを覆す程の努力を知っている。
 俺より後に楽器を始めて、俺を抜いた細い指。
「でもそれは弾かない理由にはなりません、社長」

<凡人の宣戦布告>


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 初めて音に触れた日のことは今でも覚えている。
 一番上の姉が買ってきたそれは、小学生の俺にはやけに大きく見えた。
 爪弾いた四つの弦から、響いたのは体を震わす低音。
「ねぇ、凛、それなぁに」
 振り返った目はいつもと同じように平坦なまま
「……ベース」
 黒を譲り受けるまで、それは彼女の音だった。

【初めて音に触れた日のこと】


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 俺と同じような人は地元には居なかった。
 でも、東京には。
 そんな想いで上京すれば、自分の才能の無さを知った。
 綺麗な音も、技術も、これっぽっちも無いけど。
「ねぇちゃん、これ、新しい曲?」
「そう」
 そうじゃなきゃ死んでしまう俺の為に、皆が音をくれるから。
 だから、それでも歌い続けると決めた。

【それでも歌い続けると決めた】


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 おんなのこじゃなきゃよかった。
 震えた声と、付け過ぎた澪の香水。
 月に一度、この馬鹿は酷く沈み込む。
「オメーみたいな鶏がらに欲情しねぇけどな」
 膝に沈んだ頭を軽く叩く。あくまでいつも通りに。
「唯に言われたくない」
「オメーよりマシ」
 これいらない。腹に手を当てた呟きは聞こえないことにした。

<月桂樹>


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 結構な勢いで背中に飛び込んできたのは澪で、外では珍しいとぼんやり思う。
「どうしたー」
「……またなんか、言っちゃいけないこと、言ったみたい」
 俺、馬鹿だから。口癖のように呟くそれに、溜息を飲み込む。
 でも、とくぐもった声は背中から。
「……言っちゃ駄目だって、思わなかったの」

<「歌えなくなったら死んじゃうよ」>


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 蝉の声が嫌い。強い日差しが嫌い。
 線香の匂いのするこの時期が嫌い。
「……八月なんか溶けちゃえばいい」
「まず自分の頭が溶けとるやん、澪」
「うー」
 耳を塞いでも蝉の声が聞こえる。
 影の濃いこの時期は、嫌なことばかり思い出すから。
「嫌い」

<萩月の唄歌い>


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 弑の相方。
 そう称せば、年下の幼馴染はぎこちなく笑った。
「今までの人に比べたら、全然、たんないけど」
 小さく落とした一言。それを聞いて、相変わらず馬鹿だと思った。
 幾つもあるバンドから、彼は21gを選んだ訳で。
「馬鹿ね、怜」
 彼の相方はアンタで――そんなこと、気にしても仕方ないのにね。

【気にしても仕方ないのにね。】


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「ねぇ、ヤマさん」
 首を押さえ込んだ掌と、降ってくる笑い声。
「そんなに死にたいなら死ねばいいのに」
 ねぇ、ヤマさん。散らばった薬のシートと汚れた包帯。
 それに怒っていることは、なんとなく分かる。
「……死にたくはない、よ」
 今は。
 回らない舌でそう返せば、子供みたいな声が「嘘吐き」と笑った。

<死にたがり>


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 左手首、は、この界隈でそう珍しくもない。
 夏でも長袖を着る理由。けど、それで済ませられない。
「ぃ、さん」
 ごめんなさい、と掠れた声。
「……ええから寝とけ、なぁ、ソーセイ」
 早く薬が溶ければいい。
 そんな事を考える、この時間は窒息しそうだ。

<夜明け前>
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