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テロまとめ。そのさん。

Twitterでやらかした140文字テロのログそのさん。
【】は「【オリ盤】でお題しようぜ」様からお借りした御題です。
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 BPM200。そんな曲を持ってきたのは一番苦手な人。
 今までにない速さの中で、その背中だけはいつも通りに伸びて。
 シンバルの合間から俺を見た、切れ長の目が笑う。
 『楽しいやろ』と、言われた気がした。
 見透かされている気がした。
 嗚呼、嗚呼――その通りだよ、畜生。
【ドメスティック・サウンド】

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 恵比寿、赤坂、心斎橋、川崎。
 行った事はあれども、演ったことはない箱の方が多い。
「あーあ」
「唯ちゃん?」
「……先は遠いね」
 お台場、渋谷、新木場。そうしていつかは――九段下。
 そう零せば、相方は首を傾げて。
「水道橋、じゃねぇんず?」
 その言葉に、思わず笑ってしまった。
【箱匣キャパシティ】

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 喉に悪そうなそれを試せば、すぐに声は出なくなった。
「これじゃ、この後歌えないね」
 そう言った顔は心底悔しそうだったから。
「やらなくていいよ、澪」「え」「私、やるから」
「でも」
 見上げてくる目は、不安げに揺れる。
「アンタは歌ってなさい」
 ――それ以外は、私がやるから。
【冒険デスボイス】

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 見慣れない楽器の、弦は三本。
 ピックといには大きすぎるそれを振り下ろせば、空気が震えた。
「蜜さん三味線弾けんの」
「弾ける、だけですけど」
「ピアノとギターもやろ」
 万能やなぁ。弑がそう呟けば、蜜は困った様に笑った。
「できる、とやりたい、と、上手い、は違いますよ、しーさん」

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 しーさんの曲は暴力的に、ギターの目立つ曲。
 みっちゃんの曲はメロディアス。
 客観視すれば、好みは如実に出ていると思う。
 なら、俺の曲はどうなんだろう。改めて聞けば苦笑する。
「……まぁ、そうなるわな」
 咲いて踊って。やっぱり好みは出てしまうようだ。

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「弑さん」
 少し高い所からの呆れたような声。
「人のこと言えないです」
「や、食っとるし」
「カップラーメン一日一個はご飯にカウントしません」
 心底呆れた様子にでも、と反駁したのは、いつも言っているからか。
「公共料金払える分は残して」
「だからって生活費やしてアンプ買いません普通」

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 歩幅どころか、スタートラインが違う。
 だから追いつくどころか距離は離されて、気付いた彼が振り返って名前を呼ぶのだ。
 それにまた、足りないものを思い知る。
 指の長さ、踏んだ場数、そんな諸々。
「ソーセイ」
 息が詰まりそうになりながら、笑い混じりのそれに。
「お待たせしました、弑さん」

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「しーさん、セッションって楽しい?」
「ん、まぁな」
「ふぅん」
 半眼の問いに、弑は首を傾げる。
 蜜さん。その声に振り返る、ドラマーはいつもの笑顔。
「自分等はやらんの」
「うん、やったことない」
「勿体無い」
 その言葉に、蜜は喉で笑う。
「俺(わ)は今が一番楽しいはんで、いがね」

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 天才ってなんだと思う?
 その問いに、白い唄歌いは首を傾げた。
「五オクターブ」
 返ってきたのは存外にしっかりした声。
「五オクターブはもう『天才』だよねぇ、社長」
 苦みの強い形で、彼は笑いながらそう言った。
 羨ましいよね、の一言が、彼から出たのが意外だった。

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 俺より随分とマトモなみっちゃんはでも、俺より恋愛は長続きしない。
「ヤマさんのが大事でしょ、って言われてまった」
 赤く腫らした頬で笑うのは何回目か。
「んなことねぇべ。したけどみっちゃん本命には弱いよな」
「……おっかないから」
 その一言は、泣きそうな顔で。

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「別に俺ねぇちゃんが誰かと付き合うの、反対はしてないよ」
「嘘やろ」
「即答しないでよ、本当」
 そう言って、澪は溜息を零す。
「いいよ、別に」
 そんな彼に、弑は胡乱な視線を向ける。
 それに軽く手を振って。
「世界で一番ねぇちゃんを幸せにしてくれるなら」
 そして続いた無声音は、弑には届かなかった。

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 自分の「好き」は独占欲に近い。
 誰も触ることの出来ないように。
 離れていかないように。縛り付けてしまえれば、きっと一番良いのだろう。
「でも、みっちゃん」
 少し離れた場所で白が揺れる。この感情を知る数少ない、
「それで壊しちゃうのは、おっかないよねぇ」
 ……あぁ、だから、手は伸ばせないのだ。

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「『恋とはどんなものかしら』」
 歌詞を見ながら呟いた言葉は、澪にはらしくない響きだった。
「なんや、それ」
「オペラだよ」
 でもしーさん、と澪は笑う。
「どんなんだろうね、しーさん」
「や、自分今恋人いるやろ」
「うん。でもよく分かんない」
 好きは分かるけど。笑い声がそう呟いた。

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「好きはね、分かるの」
 大分酒が回って、軽くなった口が言う。
「ねぇちゃんも皆も好き、歌うのも好きだよ」
 でも、と続くのが何回目か、数えるのはとうに止めた。
「ちゃんとした恋愛ってわかんない」
「……それ聞く相手間違ってるだろ」
「唯なら知ってると思ったんだもん」
 相変わらずのそれが痛い。

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 お互いの好みを、知る程度には長い付き合いで。
 みっちゃんとはまた違った方面で、この馬鹿は恋愛下手だと思う。
「お前相変わらず黒髪フェチなのな」
「いいじゃん、好きなんだもん」
 黒髪で、今にも折れそうな、大人しめの子。澪が選ぶのはいつもそんな子。
 浮かんだ疑念が邪推であればと――いつも思う。

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 好みの女性は。
 その問いに対する答えは、ウチに加入してから変わった。
「昔は巨乳って言ってたのに」
「……蒸し返さないでくれませんか唯さん」
「なんで」
 訊ねれば、深い溜息。
「前ン彼女が、勿体無いくらいええ女やったから」
 女々しいやろ、としーさんは笑う。
「……そんなことないよ」

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「え、知らない。カウンター付いてないし」
 ツアー先のホテル、何となく流れで行き着いた話題。
 唯の返答に、真っ先に溜息が落ちた。
「じゃあしーさん、数えてるの」
 今までの女性(ひと)。そう言われると非常に弱いが。
「……別れたくない、思ったんは一人」
 それだけは、断言できる。

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 めんどくさくない女が好き。
 いっそ清々しいまでに言い切る唯には苦笑しか出てこない。
「あ、でも俺バンギャルちゃんは好きよ」
「それこそ一番めんどいん違うか」
「恋愛対象じゃないけどね。でも一生懸命可愛いくなろうと頑張るの、可愛いじゃん」
 だから好き。そう言って唯は綺麗に笑った。

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 ねぇちゃんは大体喫煙席にいる。
 コーヒーと灰皿と、それからイヤホン。
 机に広げた紙に書くのは詞か旋律か。
 黒い頭が、何かに気付いたように上がる。
 イヤホンを外して、トレイ片手にやってくるねぇちゃん。
「禁煙席行こ」
 俺だけの特権に、頬が緩む。

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「ねぇちゃん浴衣着ない?」
「着ない」
「なんで?」
「暑い。動き辛い。一人で着れない。ハイ却下」
「着付けならしーさんか唯が出来るよ?」
「……着ねぇつってんだろこの愚弟いい加減にしろ」
 突き放せば、頬を膨らませる。お前幾つだ。
「あと蜜抱き込んだら暫く口聞かない」
「何それ酷い」

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「ちょ、みっちゃんそれ俺のサバラン!!」
「唯ちゃん、俺(わ)よか酒まいべさ」
 振り返れば、丁度蜜が洋菓子を口に運ぶ所だった。
 上がる唯の抗議、溜息で殺す。
「何、蜜君も酒弱いの」
 騒ぎを聞きつけたのか、顔を覗かせたのは社長。
「……あれが弱かったら世界には下戸しかおらんぞ」
「え?」

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「スプリット・タン、完成まで時間かかるらしくて」
 溜息混じりの相方の言葉に、背筋が冷えた。
「……まだ諦めてなかったん」
「体重落ちちゃうから悩んでます」
 ライブ出来ないのは嫌です。心底名残惜しそうな声が言う。
 けれどもその理由だと開ける日は遠い。そのことに、今度は安堵の息を吐く

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「ねぇちゃん、刺青入れたの知ってる」
 訊ねる、というよりは詰問のそれに苦笑が零れる。
「まぁね」
「……俺聞いてない」
「そうやって拗ねるからだろ」
 そう言えば、澪は溜息を吐いた。
「入れないの?」
「俺?」
「そ、揚羽蝶」
「……入れない」
 だって、とむくれた声。
「――俺が入れても意味が違うもの」

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 空は青い。でも、『青』を知らない人にはどう説明したらいいか。
 不意に蜜が、そんなことを言い出した。
「……何それ訳わからん」
「分からないものを説明しきれるか、って話ですよ、しーさん」
 にこりと、満面の笑顔。
「知らないのに口にする『青』、それは同じなんですかね」

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 彼のことを純真無垢と称する人がいるけど、それは間違いだと思う。
 細い背中がチューニングを直す、その間。
「んっとね、それじゃあ」
 くるり、回ればスカートが広がる。
「――みっちゃん、最近何かあった?」
 ……純真無垢というなら、笑顔で、喋るの苦手な人間に、MCは振ってこないだろう

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 黒い制服からは、微かに煙草の匂いがしていた。
 教師に何度か指摘されても、無表情に「吸ってない」と答えていたのを覚えている。
「ねぇ山本さん、いつからそれ吸ってるの」
 そうして、彼女の周りの人間は誰もそれを咎めなかったのも。
「13、だったかな」
 よく覚えてないけど。昏い双眸が言う。

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「弑さん、女形やらないんですか」
「……あ、『弑』名義っつー?」
「はい」
 綺麗なのに。それを、揶揄でもなく本心で呟いているのが性質が悪い。
 私よりも綺麗なのに。きょとんとしたそれに、溜息を一つ。
「ソーセイさんがやったら、やるかもな」
「……それ卑怯です」
「弑名義ではやらんよ」

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